ある文化圏では、13は不吉な数字だという
そういう場所では、13階の存在しない建物が生まれる
ある文化圏では、4は不吉な数字だという
そういう場所では、4階の存在しない建物が生まれる
12の次は13であると定めた人が居て
12の次は14であると定めた人が居る
13を入れるなんて恐ろしいと信じる人が居て
13を抜くなんて馬鹿らしいと信じる人が居る
そういうところが人のよさですよね
結局12の次は一体何なのか。ときどき思い出しては、考えている
物は、そういう話の外側に居る
13階は、あったりなかったりする
物は、ただそれをそのままに映し出す
だから彼らは人というものをよく識っていて、よく教えてくれる
そういうところが物のよさですよね
与することがない
与することがないから信頼できるし、尊敬できる
彼らには安心して、どうでもいい話題を振ることができる
高い建物でエレベーターに乗るなどすると
つい欠番がないか確認してしまう
「『13階を創るだけ創っといて、誰も使わない』ってのが良いと思わん?」
と私が問いかけると、しばしの沈黙ののち
「そんなこと言われてもなあ」
と、エレベーターが答える
それで少し考えてから
「そうだよなあ」
と、私が返して、再び沈黙が訪れる
そういうのが物のよさなのです
「そんなこと言われてもなあ」、その通りだと思う
さすがだ。いいこと言う
13階は、あったりなかったりする
あったりなかったりすればいいのだ
私が6階のボタンを押すと、数字が順に光り始める
独特の浮遊感が生まれ、空間に機械音が響く
世間話が途切れたときの、心地悪さが心地よい
無理に会話を続ける必要などないことを、ふたりとも識っているから
そこから先は、何も起きない
そういう場所では、13階の存在しない建物が生まれる
ある文化圏では、4は不吉な数字だという
そういう場所では、4階の存在しない建物が生まれる
12の次は13であると定めた人が居て
12の次は14であると定めた人が居る
13を入れるなんて恐ろしいと信じる人が居て
13を抜くなんて馬鹿らしいと信じる人が居る
そういうところが人のよさですよね
結局12の次は一体何なのか。ときどき思い出しては、考えている
物は、そういう話の外側に居る
13階は、あったりなかったりする
物は、ただそれをそのままに映し出す
だから彼らは人というものをよく識っていて、よく教えてくれる
そういうところが物のよさですよね
与することがない
与することがないから信頼できるし、尊敬できる
彼らには安心して、どうでもいい話題を振ることができる
高い建物でエレベーターに乗るなどすると
つい欠番がないか確認してしまう
「『13階を創るだけ創っといて、誰も使わない』ってのが良いと思わん?」
と私が問いかけると、しばしの沈黙ののち
「そんなこと言われてもなあ」
と、エレベーターが答える
それで少し考えてから
「そうだよなあ」
と、私が返して、再び沈黙が訪れる
そういうのが物のよさなのです
「そんなこと言われてもなあ」、その通りだと思う
さすがだ。いいこと言う
13階は、あったりなかったりする
あったりなかったりすればいいのだ
私が6階のボタンを押すと、数字が順に光り始める
独特の浮遊感が生まれ、空間に機械音が響く
世間話が途切れたときの、心地悪さが心地よい
無理に会話を続ける必要などないことを、ふたりとも識っているから
そこから先は、何も起きない